カテゴリ:書籍のネタバレ の記事一覧
2015/07/07 伊坂幸太郎「グラスホッパー」あらすじ・ネタバレ
2015/07/06 東野圭吾「天空の蜂」あらすじ・ネタバレ
2015/07/04 伊坂幸太郎「ジャイロスコープ-後ろの声がうるさい」あらすじ・ネタバレ
2015/07/04 伊坂幸太郎「ジャイロスコープ-浜田青年ホントスカ」あらすじ・ネタバレ
2015/06/27 村上龍「オールド・テロリスト」あらすじ・ネタバレ
2015/06/21 小野不由美「残穢」あらすじ・ネタバレ
2015/06/16 海堂尊「玉村警部補の災難」あらすじ・ネタバレ
2015/06/14 又吉直樹「火花」あらすじ・ネタバレ
2015/06/13 米澤穂信「満願-満願」あらすじ・ネタバレ
2015/06/13 米澤穂信「満願-関所」あらすじ・ネタバレ
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伊坂幸太郎「グラスホッパー」あらすじ・ネタバレ
2015.07.07 (Tue)
簡単なあらすじ
1) 鈴木は、27歳の元中学校教師であるが、妻をひき逃げ事故で亡くしていた。その犯人は、裏稼業を営む父親の庇護の下、罪に問われることもなかった。
2) 犯人に復讐するため、鈴木は、その男の父親・寺原が経営する会社「フロイライン」に入社する。だが、その目的を見透かされており、教育係から「テスト」されることになる。そのテスト直前、妻を殺害したひき逃げ犯が、目の前で轢かれてしまう。鈴木は、その男の背中を押し出した「押し屋」を追跡するよう命じられる。
3) 「押し屋」は、「劇団」と呼ばれる裏稼業の集団に所属する殺し屋だった。「劇団」は、フロイラインと敵対しており、彼の仲間は、その会社社長である寺原を殺害する。
4) 「劇団」の手により、復讐を果たした鈴木は、塾講師とし再出発することとなった。
起:押し屋
鈴木は、27歳の元中学校教師であるが、2年前に妻を亡くしていた。妻を轢き逃げした男は、裏社会で暗躍する会社「フロイライン」の社長である寺原の息子であり、罪を犯したにも関わらず、その事件は揉み消されてしまう。
犯人が罪に問われることもないと知った鈴木は、寺原の息子に復讐するため、職を辞し、「フロイライン」に入社する。だが、依存性のある薬物入りの"健康食品"を売りつけたり、関わるものを不幸にする行為に罪の意識を感じながらも、鈴木は妻の復讐のため、働いた。
そんな鈴木の教育係である比与子(ひよこ)は、鈴木の身元を調べ真意を試そうとする。カモにした男女2人を眠らせ、拉致した上で、「2人を殺害しろ」と指示するのだった。躊躇う鈴木だったが、そこで事件が起こる。
自分の目の前で、寺原の息子が車に轢かれてしまった。鈴木は、寺原の息子が背中を押され、車道に押し出される様子を目撃した。裏社会には、「押し屋」と呼ばれる殺し屋がいるのだという。
承:押し屋の一家
比与子に命じられるがまま、押し屋を追った鈴木だが、待っていたのは妻と幼い息子のいる家庭だった。思いがけない、「押し屋」の家族に戸惑う鈴木。本当に「押し屋」なのか確認するため、鈴木は「家庭教師」と名乗り、「押し屋」と話をすることになった。男は、槿(あさがお)と名乗り、システムエンジニアであるという。
会社に報告するか迷う鈴木だったが、比与子からは早く「押し屋」の居所を教えろと催促の電話を執拗にされる。仕方なく、比与子に会うことになったが、そこで薬物で意識を失わされ、拉致・監禁される。そこで拷問に掛けられそうになるが、そこで、ナイフ使いの殺し屋・蝉に救われる。
東野圭吾「天空の蜂」あらすじ・ネタバレ
2015.07.06 (Mon)
簡単なあらすじ
1) 錦重工業小牧工場試験飛行場の第三格納庫から、軍用の巨大ヘリコプター・ビッグBがテロリストに遠隔操作により、奪取されてしまう。ビッグBは、福井県の高速増殖炉「新陽」の上空で、ホバリングしていた。
2) 犯人は、「全国の原子力発電所を全て停止しろ。さもなければ、『新陽』にビッグBを墜落させる」と政府に告げる。
3) 犯人は、錦重工業の原子力技術者である三島幸一と、元自衛隊員で原子力発電所で働く雑賀勲だった。三島は、「父親が原子力発電所で働いている」との理由から息子がイジメられ、自殺を図ったと考え、原子力発電のことについて、世間に問う意味で今回のテロを画策した。雑賀もまた、原子力発電所で働く友人を急性骨髄性白血病で亡くしており、テロを起こすきっかけとなった。
4) 三島・雑賀は身柄を拘束された上、さらに、ビッグBの開発責任者である湯原一彰の機転により、新陽に墜落することは避けられ、事件は収束した。
起:盗み出されたビッグB
錦重工業小牧工場試験飛行場の第三格納庫から、軍用の巨大ヘリコプター・ビッグBがテロリストに遠隔操作により、奪取されてしまう。その日は、海上自衛隊への正式納入を間近に控えた領収飛行が行われる予定だったが、ビッグBは大量の爆薬物を満載したまま、テロリストの遠隔操縦によって、飛び去った。
しかも、運の悪いことに、錦重工業航空機事業本部に勤める山下の息子・恵太が見学にやってきており、ビッグBに忍び込んで遊んでいるうち、奪取事件が起こり、一人で機内に取り残されてしまった。ヘリコプター開発責任者である湯原一彰は、山下の子供を心配するとともに、これから起こる事態に不安や恐怖を抱いていた。
福井県の高速増殖炉「新陽」の上空で、ビッグBはホバリングしていた。錦重工業の関係者や、原発従業員が騒然とする中、犯人から日本政府へ届いた脅迫状には、「現在稼動中や建設中の原発を全て停止しろ、さもなくば巨大ヘリを新陽に墜落させる」という要求が書かれていた。
承:恵太の救出
燃料切れによる、墜落というタイムリミットが迫る中、犯人は子供を犠牲にすることは望まず、政府に「子供の救出を行うため、近くにヘリを近づけることは許可する」と新たな声明を発表する。
自衛隊員は、原子炉の真上でホバリングしたままのヘリから子供を救うという難しい任務に挑む。自衛隊員の乗ったヘリから、ビッグBに向け、ロープを先に付けた矢を撃ち込む。そのロープを辿って、自衛隊員は恵太を救出することに成功する。
湯原や、山下らは子供の無事を知り、安心するが、なおも原子炉の危機は残されていた。
伊坂幸太郎「ジャイロスコープ-後ろの声がうるさい」あらすじ・ネタバレ
2015.07.04 (Sat)
簡単なあらすじ
1) 主人公は、新幹線に乗っており、後ろの席から声が聞こえてきた。中年男性と若い男性が2人で話をしており、若い男性は、芸能人を追う記者であるという。
2) だが、実は若い男性は記者などではなく、離婚をきっかけに離れて暮らすことになった父親に、話しかける口実が欲しかったのだった。
3) また、その中年男性もまた、その若い男性が記者などではなく、実の息子であることを知りつつ、話を合わせていたのだった。お互いにそのことには触れず、2人は、つかの間の親子の会話をしていたのだった。
起:後ろの席の会話
主人公は、新幹線に乗っており、新車を購入しようか思案していた。そんな中、後ろの席から声が聞こえてきた。中年男性が何かを書いていたところ、そこへ、若者が「佐藤三条子という芸能人を取材している」と言い、カモフラージュのために隣に座らせて欲しいと言っているようだった。
中年男性と若者は、2人で話をしており、主人公は記者と名乗る若者の話が気になって仕方なかった。
承:不審な行動
若者は、「父親が母親にDVを行い、それが離婚原因となって、両親は別れたと聞かされています。ですが、母はヒステリックな部分があり、DVを受けていたことが本当かどうかは分かりません」と中年男性に身の上を明かし、中年男性はどう返して良いか窮している様子だった。
また、中年男性は記者と名乗る若者の荷物を隠れて漁っている様子を主人公は見つける。「中年男性は、佐藤三条子のファンで、ファンレターを書いていたのではないか。また、記者に三条子の弱みを握らせてなるものか、と荷物を漁っていたのではないか」と考える。
伊坂幸太郎「ジャイロスコープ-浜田青年ホントスカ」あらすじ・ネタバレ
2015.07.04 (Sat)
簡単なあらすじ
1) 主人公は、スーパーホイホイの空きスペースに建てられたプレハブ小屋で「相談屋」を営む稲垣に声を掛けられ、仕事を手伝って欲しいと頼まれる。
2) 1週間プレハブで寝泊まりし、その1週間後に、稲垣の「あまり会いたくない相手」に、稲垣の振りをして相談を受けて欲しい、という依頼だった。
3) 1週間後、稲垣は、「実は、誘拐犯に『ある人物を1週間、監禁したいけども、乱暴なことはしたくない』と相談された」と明かす。その人物というのは、主人公の名乗る「浜田」という青年のことだった。
4) ところが、主人公は浜田青年を殺害するよう誘拐犯に依頼された殺し屋だった。また、誘拐犯は、さらに稲垣も口封じのために抹殺することを依頼していた。だが、主人公は、その場で稲垣を殺害せず、2人でピックアップトラックに乗って走りだした。
起:相談屋・稲垣
主人公は、スーパーホイホイの空きスペースに建てられたプレハブ小屋で「相談屋」を営む稲垣に声を掛けられ、仕事を手伝って欲しいと頼まれる。1週間プレハブで寝泊まりし、その1週間後に、稲垣の「あまり会いたくない相手」に、稲垣の振りをして相談を受けて欲しい、という依頼だった。
それに伴い、「プレハブの外には出ないで欲しい」「携帯電話を預からせて欲しい」といった条件も付けられるが、主人公は仕事を手伝うことを了承する。
承:相談屋の仕事
稲垣の相談している様子を眺めていると、「業務上知り得た秘密を、どうにか世間に知らせたいが、守秘義務があって言えない」という相談には、「コンピュータにウィルスが感染してしまい、世間にばらまかれてしまうというのはどうでしょうか」などとインが来はアドバイスを行っていた。
また、「ご近所さんを殺害したいのですが、どうしたらいいでしょうか?」という相談には、「運転免許をとりたてで、不幸な事故を起こしてご近所さんを轢いてしまうのはどうでしょうか」などとアドバイスしていた。
稲垣の相談の様子を見ていた主人公は、「誰かのせいにして決着をつけるという手法をとっている」と、稲垣に指摘する。
村上龍「オールド・テロリスト」あらすじ・ネタバレ
2015.06.27 (Sat)
簡単なあらすじ
1) フリーライターのセキグチは、「NHKでテロが起こる」とのタレコミをもとに、取材に出かける。実際に、そこではNHKで火災が起こり、12人の犠牲者が出た。
2) さらには、刈払機で通行人を襲う事件や、歌舞伎町の映画館で起こった毒ガス噴霧事件などが起こり、多くの犠牲者が次々に出た。
3) 事件を計画していたのは、後期高齢者たちだった。若者にテロ実行を指示していた首謀者・ミツイシは、セキグチに「私達は、今の腑抜けた日本を大戦直後のような焼け野原にしたいと考えている」「88ミリ対戦車砲を使用し、原発を狙う」と明かされる。そして、「我々のやろうとしているを記事にしてもらいたい」と依頼する。
4) アメリカ軍との戦闘になり、ドローンにより殲滅させられそうになっているミツイシから、改めて記事を書くことを依頼されたセキグチは、書くことを決意する。そして、「まだ88ミリ対戦車砲は2基ある」と、テロが続くことを予期していた。
起:阿鼻叫喚のNHK
フリーライターのセキグチは、週刊誌の廃刊に伴い、職を失った。荒んだ生活を送り、妻子にも逃げられ、ホームレス寸前の状態だった。そんなある日、昔勤めた出版社のウェブマガジンに記事を書いて欲しい、と依頼を受ける。
「NHKでテロを起こす」というヨシザキと名乗る老人からの電話があったのだという。ヨシザキは、セキグチを名指しして、ルポを書いてもらいたいと語ったということもあり、セキグチに白羽の矢が立ち、今回の依頼が舞い込んだのだった。
NHKに向かうと、若い男性が挙動不審な行動を起こしていることに気づいた。続いて、その男が異臭のする液体を撒き、火を放った。爆発が起こり、現場は阿鼻叫喚の状況となった。計12人が死亡することとなり、後に、やはり若者の共犯者たちが自殺し、その遺書で「放送内容が原因で、その真似をして高齢者が死亡したことが問題である」と、今回のテロを起こした理由であると公表された。
承:カツラギとの出会い
セキグチは、NHKでの一件をウェブマガジンで記事にした。その後も、PTSDに悩まされつつも、精神安定剤を飲みながらこの事件について調査を行っていた。共犯者たちの1人が、隷書体という珍しい書体で遺書を書いていたことに着目し、その共犯者が通っていた書道教室に向かう。
そこは、老人たちが集う寄り合い所のようなところで、その中に書道教室もあった。生徒と思しき20代女性のカツラギに出会う。彼女の証言で、やはり自殺した共犯者も、書道教室に通っていたことが判明した。
その教室の帰り、預けていたジャケットのポケットに、次の犯行を予告する紙切れが入っていたことを発見する。マイクロフィルムも添付されており、その画像から、次回のテロが起こる場所と日時が記載されていた。
指定された日時に、大田区池上柳橋商店街へと向かうと、そこで、刈払機で3人の男女を襲う事件が発生した。犯人であるタキザワは、警察に取り囲まれ、自らの声明を読み上げた後、刈払機を自身の首に向けて自殺した。
小野不由美「残穢」あらすじ・ネタバレ
2015.06.21 (Sun)
簡単なあらすじ
1) ホラー小説作家の「私」は、読者からマンションの自室で起こるという怪奇現象について知らされる。そして、そのマンションでは、「垂れ下がった着物の帯が畳にこすれる音がする」「いないはずの赤ちゃんの泣き声がする」といった怪奇現象が多発していた。
2) 「首吊り自殺した女性の霊がいるのではないか」ということが判明し、さらには、そのマンションの前に建てられていた家に住んでいた高野トシヱという人物が自殺していたことがわかった。また、周囲では、次々に嬰児を殺害・遺棄したという事件もまた発生していた。
3) 「触穢」(穢れに触れると、その穢れが伝染するという考え)が原因であり、大本は福岡にある奥山家ではないかと「私」は考える。
起:読者からの手紙
ホラー小説を主に書いている作家の「私」は、ある怪奇現象が自宅で起こっているという読者からの手紙を受け取る。その読者とは、30代女性の久保という編集プロダクションのライターであり、「岡谷マンションの一室」に住んでいた。そこで、「寝室として使っている和室で、箒(ほうき)で床を掃いているような音がする」と手紙には書かれていた。
「私」は、久保に連絡をとり始め、その中で「箒ではなく、着物の帯が床に擦れているような様子を見た」と明かされる。着物で首吊り自殺をした女性の幽霊がいるのではないか、と久保と「私」は考える。
一方、「私」は、読者が体験した怪談話の手紙の中に、同様の怪奇現象が書かれていたことを思い出した。その読者は、屋嶋といい、久保と同じマンションに住んでいた。すでに屋嶋は転居していたが、屋嶋は401号室、久保は204号室であり、別の部屋に住んでいたことが判明した。
承:岡谷マンション
自殺者や事件があったことを、不動産会社が隠していたのではないか、と調べたが、そのような事件などはないようだった。また、久保がマンションの住人に話を聞くと、203号室も次々に住人が入れ替わっていることが分かった。
204号室に住んでいた男性・梶原亮は、久保たちの住むマンションから転居後、首を吊って自殺していた。転居先のアパートのオーナー・伊藤は、梶原が死亡する直前、梶原が自分たちの部屋に夜間、やって来るという夢を見たと語っていた。
さらに、久保は近所に取材を行うと、マンションが建つ前の土地で、小井戸という男性が住んでいたことが判明する。小井戸は、自宅で孤独死していた。妻が亡き後、小井戸の家はゴミ屋敷となっており、近所でトラブルになっていたという。「私」は、小井戸が自宅をゴミで埋め尽くすことによって、怪奇現象が起こらないようにしたのではないか、と推測した。
「私」は、401号室に住んでいた屋嶋に、転送されることを期待して手紙を出した。すると、屋嶋から電話が掛かっていて、何故転居したかについて語った。部屋に、いるはずのない赤ん坊の泣き声が聞こえるようになったり、何かがいる気配がするといった現象が起こり、早々に引っ越しをしたのだという。また、屋嶋から、近くに住む岡谷団地の鈴木という人物も、同様な現象を経験したのだという。
近所の家に住んでいた政春家の人々は、新興宗教にのめり込んだ結果、一家離散に至ったのだという。その新興宗教に入信するきっかけも、怪奇現象が関わっているようだった。自宅でも、何かのお祓いのような儀式が行われていたのだという。
海堂尊「玉村警部補の災難」あらすじ・ネタバレ
2015.06.16 (Tue)
・東京都二十三区内外殺人事件
・青空迷宮
・四兆七千億分の一の憂鬱
・エナメルの証言
東城大学医学部付属病院で不定愁訴外来を担当している田口公平は、厚生労働省窓際官僚の白鳥圭輔からの要請で、厚生労働省の会議に出席するため上京する。
会議からの帰り道、白鳥と別れた田口は公園で身元不明の遺体がベンチに横たえられているのを発見する。慌てて白鳥のもとへ向かうと、白鳥は慌てる様子もなく、遺体を公園からわずかに移動させ、通報する。その後、白鳥は警察官に監察医だと誤認させ、監察医務院に運び込み解剖を依頼する。結果、他殺体であると判明した。
翌日、田口は再び同じ場所で遺体を発見する。白鳥に連絡をとることもできず、結果、警察に通報すると、今度は警視庁管轄ではなく、神奈川県警が主導で遺体を運び、開業医に検視を依頼することになった。だが、その開業医は解剖も行わず、「心不全」と死因を断定した。
その結果に異を唱える田口は、警察庁刑事局刑事企画課電子網監察室室長・加納達也に連絡し、Ai(オートプシー・イメージング)を実施する。胸部CTの画像から、肺に水が溜まっている状態であり、水死と判断された。
田口が遺体を発見した場所は、神奈川県警が管轄としている場所であり、白鳥が遺体を移動した場所は、警視庁管轄の場所であった。神奈川県警の管轄の場所では、解剖もせず、死因を断定する開業医が検視を担当しているため、その場所を狙って、ヤクザが殺害した人の遺体を放置し、自然死と認定させていたのだった。
桜宮市のサクラテレビで、「青空迷宮」という企画が行われ、かつて一世を風靡した芸人が参加した。迷宮をいち早く抜けた者に賞金が出るという企画であり、その番組収録中、迷宮内で元お笑いトリオのハイパーマン・バッカス 利根川一郎が死亡していた。
捜査のため桜宮警察署の玉村警部補と加納警視正がやってくる。利根川は、目をボーガンの矢で撃ちぬかれていた。迷宮内には、数多くのカメラが設置されており、犯行が可能なのは、ゲームの参加者であると考えられた。
だが、加納は、利根川と同じく元ハイパーマン・バッカスで、現在はADをしている真木裕太が犯人であると疑う。真木は、迷路の壁の上を通ってカメラに映らないようにして、利根川をボーガンで狙ったのではないかと考えた。
利根川は、偏光レンズを持っていた。普通には見えない矢印が壁に描かれており、偏光レンズを通して見ると、その矢印が現れることを加納は発見する。その矢印によってカメラの死角となる位置に利根川を誘い込み、ボーガンで殺害したのだった。
トリオ解散の原因となり、なおかつネタを盗まれた真木は利根川を恨んでいた。その復讐のため、今回の事件を計画したのだった。利根川には、「優勝賞金の一部をキックバックしてくれれば、優勝させてやる」と提案し、偏光レンズを渡していたのだった。
・青空迷宮
・四兆七千億分の一の憂鬱
・エナメルの証言
東京都二十三区内外殺人事件
東城大学医学部付属病院で不定愁訴外来を担当している田口公平は、厚生労働省窓際官僚の白鳥圭輔からの要請で、厚生労働省の会議に出席するため上京する。
会議からの帰り道、白鳥と別れた田口は公園で身元不明の遺体がベンチに横たえられているのを発見する。慌てて白鳥のもとへ向かうと、白鳥は慌てる様子もなく、遺体を公園からわずかに移動させ、通報する。その後、白鳥は警察官に監察医だと誤認させ、監察医務院に運び込み解剖を依頼する。結果、他殺体であると判明した。
翌日、田口は再び同じ場所で遺体を発見する。白鳥に連絡をとることもできず、結果、警察に通報すると、今度は警視庁管轄ではなく、神奈川県警が主導で遺体を運び、開業医に検視を依頼することになった。だが、その開業医は解剖も行わず、「心不全」と死因を断定した。
その結果に異を唱える田口は、警察庁刑事局刑事企画課電子網監察室室長・加納達也に連絡し、Ai(オートプシー・イメージング)を実施する。胸部CTの画像から、肺に水が溜まっている状態であり、水死と判断された。
田口が遺体を発見した場所は、神奈川県警が管轄としている場所であり、白鳥が遺体を移動した場所は、警視庁管轄の場所であった。神奈川県警の管轄の場所では、解剖もせず、死因を断定する開業医が検視を担当しているため、その場所を狙って、ヤクザが殺害した人の遺体を放置し、自然死と認定させていたのだった。
青空迷宮
桜宮市のサクラテレビで、「青空迷宮」という企画が行われ、かつて一世を風靡した芸人が参加した。迷宮をいち早く抜けた者に賞金が出るという企画であり、その番組収録中、迷宮内で元お笑いトリオのハイパーマン・バッカス 利根川一郎が死亡していた。
捜査のため桜宮警察署の玉村警部補と加納警視正がやってくる。利根川は、目をボーガンの矢で撃ちぬかれていた。迷宮内には、数多くのカメラが設置されており、犯行が可能なのは、ゲームの参加者であると考えられた。
だが、加納は、利根川と同じく元ハイパーマン・バッカスで、現在はADをしている真木裕太が犯人であると疑う。真木は、迷路の壁の上を通ってカメラに映らないようにして、利根川をボーガンで狙ったのではないかと考えた。
利根川は、偏光レンズを持っていた。普通には見えない矢印が壁に描かれており、偏光レンズを通して見ると、その矢印が現れることを加納は発見する。その矢印によってカメラの死角となる位置に利根川を誘い込み、ボーガンで殺害したのだった。
トリオ解散の原因となり、なおかつネタを盗まれた真木は利根川を恨んでいた。その復讐のため、今回の事件を計画したのだった。利根川には、「優勝賞金の一部をキックバックしてくれれば、優勝させてやる」と提案し、偏光レンズを渡していたのだった。
又吉直樹「火花」あらすじ・ネタバレ
2015.06.14 (Sun)
簡単なあらすじ
1) お笑いコンビ・スパークスの徳永は、熱海の営業で、4歳上の先輩芸人・神谷に出会う。自分にはない、常識破りで、自分で面白いと思うことを体現する神谷に憧れ、そこから徳永は神谷と親交を深めていった。
2) 徳永は、ネタ番組などに出演するようになるが、相方が同棲相手の妊娠を機に芸人を辞め、10年目にコンビを解散する。徳永もまた、芸人を辞めることになった。
3) 神谷は、バイトもせず後輩に奢るといった生活を続け、借金が膨らみ続けていた。結果、金策に走り回るため、行方をくらませてしまう。神谷は自己破産してようやく落ち着き、徳永が芸人を辞めたあとに連絡してきた。徳永は、神谷の変貌に驚く。自分では面白いと思い、神谷は豊胸手術を受け、Fカップになっていた。そのようなキャラクターが世間に受け入れられるとは思えず、徳永は呆れ果て、そうした指摘に神谷はようやく手術を受けたことを後悔するのだった。
4) 徳永と神谷は、出会った場所である熱海へ、温泉旅行に出かける。そこで、素人参加型の漫才大会に出るためにネタを作り始めた神谷を見て、徳永は「生きている限り、バッドエンドはない。僕たちはまだ途中だ。これから続きをやるのだ」と思うのだった。
起:神谷との出会い
お笑いコンビ・スパークスの徳永は、4歳上の先輩芸人・神谷に熱海のお祭りの営業で出会う。神谷は、あほんだらというお笑いコンビを組んでおり、「地獄」と連呼するような、常識の枠からはみ出た漫才を披露し、徳永はそんな神谷に魅了される。
仕事が終わった後、神谷は徳永を飲みに誘う。そこでまるで漫才のやりとりのような会話をしている中で、徳永は神谷に「弟子にしてください」と申し出てしまっていた。神谷はそれを了承し、さらに「俺の伝記を書いて欲しい」と頼み、その日から徳永は神谷との日々をノートに書き綴ることになる。
承:若手芸人の日々
神谷は、大阪を拠点に芸人をやっていたが、見切りをつけて上京した。そして、真樹という女性とヒモ同然で同棲し、芸人を続けていた。
一方、徳永は、バイトを続けつつも、若手芸人が出演するステージに立ち、あとは相方とネタ合わせをする日々を送っていた。また、美容師の知り合いに頼まれ、髪を染める練習台になり、銀髪になった後、その銀髪は徳永のトレードマークとなった。
徳永は漫才番組に出演するようになり、深夜番組やネタ番組に次第に呼ばれるようになった。一時的とは家、人気も得るようになり、以前と比べて収入も増えていった。一方、世間に迎合しようとしない神谷は相変わらず売れることもなく、テレビ出演する姿を観たことはなかった。
米澤穂信「満願-満願」あらすじ・ネタバレ
2015.06.13 (Sat)
簡単なあらすじ
1) 藤井は、司法試験の受験生時代に下宿していた家の大家・鵜川妙子の裁判を担当した。妙子は、夫が金を借りていた男・矢場英司を殺害した。
2) 妙子は、家宝としていた掛け軸を大事にしており、その掛け軸を借金のカタにとらせまいとして、事件を起こした。
3) 矢場を刺殺し、血液が付着した掛け軸は、警察に押収品として保管されていた。また、借金は夫が病死して保険金が下りたため、支払うことができた。そのため、掛け軸は妙子の狙いどおり、彼女のもとへと残されたのだった。
起:鵜川妙子 服役囚
藤井は、鵜川妙子の裁判を担当した弁護士である。実は、弁護士になる前、司法試験の勉強のため、下宿していた家の大家が鵜川重春・妙子夫婦だった。その縁もあり、藤井は、妙子を弁護したのだった。
鵜川重春は、畳屋をやっていたが、その不誠実な仕事ぶりで、家計は火の車だった。そのため、空いた部屋に下宿人を入れることにしたのだった。重春は、藤井を邪険にする様子だったが、妙子は優しく、度々、差し入れを入れてくれたり、話し相手になってくれたりした。
「藤井さん、よく勉強なさいね」と妙子は藤井によく言っていた。妙子の先祖は私塾を開、身分の低い武士を支えて出世を助けたのだという。その功績から、先祖は島津の殿様から掛け軸を授けられた。妙子は、実家から持ってきたその掛け軸を家宝として大事にしていた。
承:事件発生
妙子は、矢場英司を殺害したのだという。死因は、腹部を刺されたことで出血し、矢場はショック死したのだという。
凶器は、妙子がいつも台所でつかっていた包丁であり、座布団やダルマには血痕が残っていた。妙子は殺害後、死体をリアカーでひと目の付かない空き地に運んだ。ダルマは、背中に血痕が残っていた。
米澤穂信「満願-関所」あらすじ・ネタバレ
2015.06.13 (Sat)
簡単なあらすじ
1) フリーライターの主人公は、伊豆半島の桂谷峠に取材にやってきた。そこは、次々と人が事故死する峠であり、都市伝説として記事にしようとしていた。
2) 峠のドライブインを訪れた主人公は、そこの店主である老婆に話を聞く。そして、老婆は娘の夫殺しの事実を隠蔽するため、石仏が凶器となったということがバレてしまいそうになると、睡眠薬入りの飲み物を入れて事故死させたことを明かす。
3) 話を聞き終えて、主人公は自身もまた老婆に睡眠薬を盛られていることに気づくのだった。
起:死を呼ぶ峠
フリーライターの主人公は、伊豆半島の桂谷峠に取材にやってきた。長い運転の後、ドライブインで休憩をとっていると、そこの店主である老婆に話を聞くことになった。
その峠では、次々と人が亡くなっており、「死を呼ぶ峠」として、先輩ライターが都市伝説として記事にしようとしていた。ところが、「これは本物かもしれない…」と、先輩ライターはネタ提供を躊躇していたが、主人公は日銭を稼ぐため、取材することになった
承:度重なる事故死
峠で亡くなった人としては、前野拓矢という、静岡県庁職員がいた。観光部に勤めており、峠で運転を誤り、谷底へ落下してしまったのだという。
次は、田沢翔、藤井香奈の男女だという。この男女も、クルマを運転中、谷底に落下して死亡した。田沢は借金を抱えており、親にカネを無心しにきたのだという。ドライブインでも態度が悪く、テーブルの脚を蹴りつけていた。
最後は、大塚史人という大学生で、フィールドワークにやってきた史学部の学生だった。やはり同様の死に方をしていたのだという。