「陰日向に咲く」のネタバレ
2010.08.27 (Fri)
6人の(社会的に)陽に当たらない人達が、社会復帰するまでの道のりを描いたオムニバスである。
・道草
社会の束縛に苦しんでいたサラリーマンが、ある日、大ボラ吹きで有名なホームレスの男性「モーゼ」に出会う。そのモーゼのような自由人に憧れ、自ら好き好んでホームレスになる。だが、コンビニで弁当を拾うのにも躊躇したり、拾えずに買ったりと、戸惑いやプライドを捨てきれない。
ある日、若くして億を稼ぐという野球選手、K・Yが父親を捜してホームレスが集う公園にやって来る。モーゼは自分が父親だと言い、証拠の写真を見せ、息子についていくことになり、ホームレスを引退する。
主人公は、悪いと思いつつ、ホームレス生活の終焉に、モーゼの住んでいた小屋を覗いた。そこには、日記などが置かれていた。覗いていると、そこにはブタ箱から帰ってきたという本当の野球選手の父親がいた。モーゼは、やはり大ボラ吹きだったのだ。
主人公は、好きこのんでホームレスをやっているとは、とうてい思えない青年に出会う。それで、ホームレス生活を止めることを決意する。
・拝啓、僕のアイドル様
主人公は、デビュー5年目のマイナーなアイドル・武田みやこ(通称:ミャーコ)の熱狂的なファンの青年、ゆうすけ。彼女を想う気持ちは誰にも負けない。
みやこは30歳(公称25歳)。アイドルとして崖っぷちだった。イベントでは、ゆうすけを含めて4人程度しか集まらないような状態だった。
そんなある日、ミャーコはゴールデン番組に出演することが決まった。健康を題材にした番組で、ミャーコはアイドルらしからぬ、ドロドロ血液の「ドロ子」というキャラクターでの出演だった。
あまりにひどい格好、扱いも酷く、ゆうすけはテレビを消してしまう。それでも何かミャーコのためになることはないかと、番組のホームページの掲示板にドロ子を称賛したり、応援したりするメッセージを数百件書き込む。
ドロ子が人気になり、再度の出演が決まった。この出演がきっかけでミャーコは誰もが知る人気のアイドルとなる。
実は、ゆうすけは武田みやこの中学校の同級生であった。当時から彼女のことを好きだったが、転校する日にも、ゆうすけは告白することが出来なかった。その思いを引きずりながら、ゆうすけはミャーコのファンを続ける。
ゆうすけはミャーコと話す機会があったが、ミャーコは同級生であることを忘れていた。ゆうすけも、そのことを話せずに逃げだしてしまう。
「道草」で主人公が出会った青年はゆうすけだった。ゆうすけはホームレスではないが、その風体などから誤解される。だが、その誤解を解かず、「道草」の主人公に「あなたのお陰で社会復帰できました」などとメールを送る。
・ピンボケな私
特に人に自慢できることがない平凡な20歳の女性は、ある日の飲み会で友達が淡々と夢を語る中、とっさの嘘で「カメラマンになりたい」と言ってしまう。
主人公の高校からの親友であるミキは一瞬驚くが、特に気にしなかった。そしてある日の合コンで出会った完璧な男・タクミと恋に落ちる。劇的な恋に主人公は戸惑いなく夢中になっていくが、ある時遊ばれていると気付いてしまう。
遊ばれていると気づいた瞬間、電車の車内でタクミのことが悪魔に感じられてしまう。SDカードが取り出せなくなったデジカメで、タクミのことを写真で彼女は撮った。
・Over run
タクミらと電車に同乗していた紫色の髪の女性が冒頭に登場する。主人公は、35歳独身でパチスロや競馬といったギャンブル好きな多重債務者の男性・シンヤ。借金は400万を優に超え、とうとう「オレオレ詐欺」に手を出してしまう。
そして電話に出た老婆の息子「健一」に成り済まし、ありもしない話をして交流を深めてしまう。借金返済日が近づくある日、老婆に50万円を用意するように頼む。後日、老婆の家に取りに行くと、とある事実を知ってしまう。
「健一」は産まれてすぐに亡くなっていた。老婆は当然、そのことを知っている。健一が電話を掛けてくるはずがないと分かっていた。だが、彼女は主人公のウソに自ら騙されようとしていた。その旨が手紙でしたためられ、50万円が用意されていた。
手紙には「健一、あなたの初恋、学生時代の思い出、どんな結婚生活を送っているのか教えてください」などと書かれていた。
そこで、主人公は葬儀に参列し、「アメリカ兵を殴った」と自慢げに語る老人(「道草」のモーゼ)に、自らの過去を語り出した。
・鳴き砂を歩く犬
ロクでもない家庭に育った不幸な少女・鳴子は、中学の修学旅行で浅草に行き、そこで売れない芸人・プードル雷太(若かりし頃のモーゼと明かされる)に出会う。
彼に運命を感じた鳴子は3年後、鳥取県から上京し 雷太を捜す。劇場を何件も回り、ある日入ったストリップ劇場で雷太を見つける。だが、何も成長してない雷太を見た鳴子は、彼を売れっ子芸人にする為にコンビを組む。
毒舌なボケを繰り出し、プードル雷太にツッコませる。その芸は人気を博した。だが、舞台に上がる前に吐く、自らのミスを舞台後に泣きながら詫び続ける、など無理している様子にプードル雷太は心を痛める。
その後、あこがれの女性、ストリッパーのジュピターが入院したことを知る。お見舞いに行くと、そこにはアメリカ人の恋人が現れた。目の前で性交渉を繰り広げ、それを見ているようにジュピターに言われる。だが、耐えきれなかったプードル雷太は、アメリカ人の恋人に殴りかかる(実際は殴っていない)。逆に、倒されて気絶してしまった。
プードル雷太は、コンビ解消、そして浅草芸人を辞めることを鳴子に告げる。鳴子は彼にキスし、「きっとあなたのことを見つけ出す。私はあなたをみつけるのが上手いんだから」などと話す。
時は流れ、「Over run」の葬儀に至る。亡くなった老婆はジュピター、「アメリカ兵を殴った」と嘯くのはプードル雷太だった。その葬儀の明くる日、ある人物が玄関先にやってくる。
その人物こそ、鳴子だった。同じように年を重ね、彼の元に再びやってきた。「見つけたよ」と鳴子は微笑んだ。
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・道草
社会の束縛に苦しんでいたサラリーマンが、ある日、大ボラ吹きで有名なホームレスの男性「モーゼ」に出会う。そのモーゼのような自由人に憧れ、自ら好き好んでホームレスになる。だが、コンビニで弁当を拾うのにも躊躇したり、拾えずに買ったりと、戸惑いやプライドを捨てきれない。
ある日、若くして億を稼ぐという野球選手、K・Yが父親を捜してホームレスが集う公園にやって来る。モーゼは自分が父親だと言い、証拠の写真を見せ、息子についていくことになり、ホームレスを引退する。
主人公は、悪いと思いつつ、ホームレス生活の終焉に、モーゼの住んでいた小屋を覗いた。そこには、日記などが置かれていた。覗いていると、そこにはブタ箱から帰ってきたという本当の野球選手の父親がいた。モーゼは、やはり大ボラ吹きだったのだ。
主人公は、好きこのんでホームレスをやっているとは、とうてい思えない青年に出会う。それで、ホームレス生活を止めることを決意する。
・拝啓、僕のアイドル様
主人公は、デビュー5年目のマイナーなアイドル・武田みやこ(通称:ミャーコ)の熱狂的なファンの青年、ゆうすけ。彼女を想う気持ちは誰にも負けない。
みやこは30歳(公称25歳)。アイドルとして崖っぷちだった。イベントでは、ゆうすけを含めて4人程度しか集まらないような状態だった。
そんなある日、ミャーコはゴールデン番組に出演することが決まった。健康を題材にした番組で、ミャーコはアイドルらしからぬ、ドロドロ血液の「ドロ子」というキャラクターでの出演だった。
あまりにひどい格好、扱いも酷く、ゆうすけはテレビを消してしまう。それでも何かミャーコのためになることはないかと、番組のホームページの掲示板にドロ子を称賛したり、応援したりするメッセージを数百件書き込む。
ドロ子が人気になり、再度の出演が決まった。この出演がきっかけでミャーコは誰もが知る人気のアイドルとなる。
実は、ゆうすけは武田みやこの中学校の同級生であった。当時から彼女のことを好きだったが、転校する日にも、ゆうすけは告白することが出来なかった。その思いを引きずりながら、ゆうすけはミャーコのファンを続ける。
ゆうすけはミャーコと話す機会があったが、ミャーコは同級生であることを忘れていた。ゆうすけも、そのことを話せずに逃げだしてしまう。
「道草」で主人公が出会った青年はゆうすけだった。ゆうすけはホームレスではないが、その風体などから誤解される。だが、その誤解を解かず、「道草」の主人公に「あなたのお陰で社会復帰できました」などとメールを送る。
・ピンボケな私
特に人に自慢できることがない平凡な20歳の女性は、ある日の飲み会で友達が淡々と夢を語る中、とっさの嘘で「カメラマンになりたい」と言ってしまう。
主人公の高校からの親友であるミキは一瞬驚くが、特に気にしなかった。そしてある日の合コンで出会った完璧な男・タクミと恋に落ちる。劇的な恋に主人公は戸惑いなく夢中になっていくが、ある時遊ばれていると気付いてしまう。
遊ばれていると気づいた瞬間、電車の車内でタクミのことが悪魔に感じられてしまう。SDカードが取り出せなくなったデジカメで、タクミのことを写真で彼女は撮った。
・Over run
タクミらと電車に同乗していた紫色の髪の女性が冒頭に登場する。主人公は、35歳独身でパチスロや競馬といったギャンブル好きな多重債務者の男性・シンヤ。借金は400万を優に超え、とうとう「オレオレ詐欺」に手を出してしまう。
そして電話に出た老婆の息子「健一」に成り済まし、ありもしない話をして交流を深めてしまう。借金返済日が近づくある日、老婆に50万円を用意するように頼む。後日、老婆の家に取りに行くと、とある事実を知ってしまう。
「健一」は産まれてすぐに亡くなっていた。老婆は当然、そのことを知っている。健一が電話を掛けてくるはずがないと分かっていた。だが、彼女は主人公のウソに自ら騙されようとしていた。その旨が手紙でしたためられ、50万円が用意されていた。
手紙には「健一、あなたの初恋、学生時代の思い出、どんな結婚生活を送っているのか教えてください」などと書かれていた。
そこで、主人公は葬儀に参列し、「アメリカ兵を殴った」と自慢げに語る老人(「道草」のモーゼ)に、自らの過去を語り出した。
・鳴き砂を歩く犬
ロクでもない家庭に育った不幸な少女・鳴子は、中学の修学旅行で浅草に行き、そこで売れない芸人・プードル雷太(若かりし頃のモーゼと明かされる)に出会う。
彼に運命を感じた鳴子は3年後、鳥取県から上京し 雷太を捜す。劇場を何件も回り、ある日入ったストリップ劇場で雷太を見つける。だが、何も成長してない雷太を見た鳴子は、彼を売れっ子芸人にする為にコンビを組む。
毒舌なボケを繰り出し、プードル雷太にツッコませる。その芸は人気を博した。だが、舞台に上がる前に吐く、自らのミスを舞台後に泣きながら詫び続ける、など無理している様子にプードル雷太は心を痛める。
その後、あこがれの女性、ストリッパーのジュピターが入院したことを知る。お見舞いに行くと、そこにはアメリカ人の恋人が現れた。目の前で性交渉を繰り広げ、それを見ているようにジュピターに言われる。だが、耐えきれなかったプードル雷太は、アメリカ人の恋人に殴りかかる(実際は殴っていない)。逆に、倒されて気絶してしまった。
プードル雷太は、コンビ解消、そして浅草芸人を辞めることを鳴子に告げる。鳴子は彼にキスし、「きっとあなたのことを見つけ出す。私はあなたをみつけるのが上手いんだから」などと話す。
時は流れ、「Over run」の葬儀に至る。亡くなった老婆はジュピター、「アメリカ兵を殴った」と嘯くのはプードル雷太だった。その葬儀の明くる日、ある人物が玄関先にやってくる。
その人物こそ、鳴子だった。同じように年を重ね、彼の元に再びやってきた。「見つけたよ」と鳴子は微笑んだ。
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