「グラン・トリノ」のネタバレ・あらすじ
2010.09.21 (Tue)
ウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)は、朝鮮戦争の帰還兵だった。彼には、自分だけの正義があった。それに外れるものは、何もかも許せない頑固で偏狭な男だ。妻の葬儀では、孫娘の露出過剰なファッションにキレ、大勢の参列者には「会食に出すハムを食いに来ただけだ」と毒づく。さらに、説教が気に入らない新米神父には、「頭でっかちの童貞」などと宣う。ふたりの息子たちは、式が済むと逃げるように帰って行った。
もっと、許せないことが彼にはあった。近隣に暮らす、ウォルトが偏見を隠さないアジア系の移民たちだ。大人たちは家屋の手入れをせず、若者たちはギャングを気取って異人種間の小競り合いを繰り返している。
彼らに罵声を浴びせる以外のウォルトの日常は、いたって退屈だ。自宅を修繕し、芝生を刈り、愛犬デイジーに語りかけながらビールを飲み、月に一度は床屋へ行く。そんな彼の唯一の楽しみは、磨き上げた愛車である「グラン・トリノ」を眺めることだった。定年までフォードの自動車工を勤め上げたウォルトが、1972年に自らステアリング・コラムを取り付けたヴィンテージ・カーだ。
その宝物を盗もうとする、命知らずの少年が現われる。隣に住むモン族のタオだ。学校にも行かず仕事もないタオは、従兄のスパイダーに不良グループへ引き込まれ、車を盗めと命令される。夜中にガレージに忍び込んだタオは、ウォルトにM-1ライフルを向けられて、逃げ出した。ウォルトは、朝鮮戦争で使い込んだそのライフルを、タオにヤキを入れに来たスパイダーたちにも突きつける。彼は自宅の庭に侵入されて激怒しただけなのだが、タオを不良たちから救う結果になるのだった。
翌日、タオの母と姉のスー、そして親戚までが、花に植木、料理にお菓子とお礼を持って押しかけるが、ウォルトには迷惑なだけだった。数日後、ウォルトはスーが黒人の二人組に絡まれているところを助けてやる。朗らかで機転の利くスーとの会話は、ウォルト自身意外なことにじつに楽しいものだった。
また別の日、ウォルトはスーから自宅に招待される。ビールに釣られて訪ねると、最初は気まずい空気が流れるが、祈祷師に心の中をズバリ言い当てられ、女たちに美味しい料理を振る舞われ、ウォルトは思わず「どうにもならない身内より、ここの連中のほうが身近に思える」と呟く。
彼女の家のパーティーに招かれた席で、コワルスキーは喀血する。病院で診察を受けた結果、肺癌と宣告される。コワルスキーは、そのことを息子に自ら電話して伝える。彼に残された余命は、幾ばくもない。
後日、スーと母親がウォルトを訪ね、お詫びにタオを働かせてほしいと強引に頼みこむ。渋々引き受けたウォルトとタオの不思議な交流が始まった。近隣の家の修繕を命じられたタオは、労働の喜びに目覚めていく。手本となる父親がいないタオにとって、ウォルトはまさに人生の師だ。ウォルトもまた、生き生きと働くタオを見直し始める。約束の日数が過ぎても、タオは何かとウォルトを手伝った。
タオに建設現場の仕事を世話し、自慢の工具を貸し与えるウォルト。今やウォルトは、タオを一人前の男にするという人生の最後にふさわ相応しい仕事に、生きる喜びを感じていた。何もかもが順調に見えた時、スパイダーたちの嫌がらせが再燃する。ウォルトが受けて立ったばかりに争いはさらに加速し、ウォルトはタオと家族の命の危険さえ感じ始める。
タオは従兄・スパイダーがリーダーであるチンピラグループに絡まれ、顔に煙草を押しつけられ、工具を壊されてしまう。それを知ったウォルトは、チンピラどもを殴り銃を向け、タオにもう近づかないよう警告するが、これに腹を立てたチンピラ達は車からタオの家に発砲する。
タオは軽傷、家族は無傷で済んだのだが、スーの姿がどこにもない。嫌な予感がするウォルトだった、その予感は的中する。スーは、ギャングどもに乱暴されてしまう。
激昂し、「早く復讐しに行こう」と急かすタオを、ウォルトは「見せたいものがある」と地下室に連れて行く。そして、タオを地下室に閉じこめてしまう。ウォルトは一人で決着をつけるため、ギャングの住処に向かう。全員に銃を向けられてもウォルトには余裕さえ感じられた。
煙草を口にくわえ、ライターを出すから待てと胸元に手を入れる。そして、勢いよく手を胸元から抜いた瞬間、ウォルトは撃たれ絶命する。その手には、愛用のライターが握られていた。
彼の遺言で、ウォルトが大事にしていた愛車「グラン・トリノ」は、タオに譲られる。その車で、タオはウォルトの愛犬を隣に乗せて運転する。
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もっと、許せないことが彼にはあった。近隣に暮らす、ウォルトが偏見を隠さないアジア系の移民たちだ。大人たちは家屋の手入れをせず、若者たちはギャングを気取って異人種間の小競り合いを繰り返している。
彼らに罵声を浴びせる以外のウォルトの日常は、いたって退屈だ。自宅を修繕し、芝生を刈り、愛犬デイジーに語りかけながらビールを飲み、月に一度は床屋へ行く。そんな彼の唯一の楽しみは、磨き上げた愛車である「グラン・トリノ」を眺めることだった。定年までフォードの自動車工を勤め上げたウォルトが、1972年に自らステアリング・コラムを取り付けたヴィンテージ・カーだ。
その宝物を盗もうとする、命知らずの少年が現われる。隣に住むモン族のタオだ。学校にも行かず仕事もないタオは、従兄のスパイダーに不良グループへ引き込まれ、車を盗めと命令される。夜中にガレージに忍び込んだタオは、ウォルトにM-1ライフルを向けられて、逃げ出した。ウォルトは、朝鮮戦争で使い込んだそのライフルを、タオにヤキを入れに来たスパイダーたちにも突きつける。彼は自宅の庭に侵入されて激怒しただけなのだが、タオを不良たちから救う結果になるのだった。
翌日、タオの母と姉のスー、そして親戚までが、花に植木、料理にお菓子とお礼を持って押しかけるが、ウォルトには迷惑なだけだった。数日後、ウォルトはスーが黒人の二人組に絡まれているところを助けてやる。朗らかで機転の利くスーとの会話は、ウォルト自身意外なことにじつに楽しいものだった。
また別の日、ウォルトはスーから自宅に招待される。ビールに釣られて訪ねると、最初は気まずい空気が流れるが、祈祷師に心の中をズバリ言い当てられ、女たちに美味しい料理を振る舞われ、ウォルトは思わず「どうにもならない身内より、ここの連中のほうが身近に思える」と呟く。
彼女の家のパーティーに招かれた席で、コワルスキーは喀血する。病院で診察を受けた結果、肺癌と宣告される。コワルスキーは、そのことを息子に自ら電話して伝える。彼に残された余命は、幾ばくもない。
後日、スーと母親がウォルトを訪ね、お詫びにタオを働かせてほしいと強引に頼みこむ。渋々引き受けたウォルトとタオの不思議な交流が始まった。近隣の家の修繕を命じられたタオは、労働の喜びに目覚めていく。手本となる父親がいないタオにとって、ウォルトはまさに人生の師だ。ウォルトもまた、生き生きと働くタオを見直し始める。約束の日数が過ぎても、タオは何かとウォルトを手伝った。
タオに建設現場の仕事を世話し、自慢の工具を貸し与えるウォルト。今やウォルトは、タオを一人前の男にするという人生の最後にふさわ相応しい仕事に、生きる喜びを感じていた。何もかもが順調に見えた時、スパイダーたちの嫌がらせが再燃する。ウォルトが受けて立ったばかりに争いはさらに加速し、ウォルトはタオと家族の命の危険さえ感じ始める。
タオは従兄・スパイダーがリーダーであるチンピラグループに絡まれ、顔に煙草を押しつけられ、工具を壊されてしまう。それを知ったウォルトは、チンピラどもを殴り銃を向け、タオにもう近づかないよう警告するが、これに腹を立てたチンピラ達は車からタオの家に発砲する。
タオは軽傷、家族は無傷で済んだのだが、スーの姿がどこにもない。嫌な予感がするウォルトだった、その予感は的中する。スーは、ギャングどもに乱暴されてしまう。
激昂し、「早く復讐しに行こう」と急かすタオを、ウォルトは「見せたいものがある」と地下室に連れて行く。そして、タオを地下室に閉じこめてしまう。ウォルトは一人で決着をつけるため、ギャングの住処に向かう。全員に銃を向けられてもウォルトには余裕さえ感じられた。
煙草を口にくわえ、ライターを出すから待てと胸元に手を入れる。そして、勢いよく手を胸元から抜いた瞬間、ウォルトは撃たれ絶命する。その手には、愛用のライターが握られていた。
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