【登場人物】
・会田愛一郎：みどりの妹、大樹、美樹の叔父。サムターン回しの手口で窃盗を繰り返していた。不法侵入した住宅の住人ともみ合いになり、殺害してしまい、服役して出所した。
・高澤大樹：会田愛一郎の甥。家に引きこもるようになり、ある日、自宅で練炭による一酸化炭素中毒で遺体となって発見される。
・高澤美樹：大樹の妹。
・高澤芳男：中学の理科教師。みどりと結婚し、みどり亡き後も大樹、美樹を養っていた。
・榎本径:防犯コンサルタント、防犯ショップ店長。本職は泥棒。
・青砥純子：『レスキュー法律事務所』弁護士。

【あらすじ】
　会田愛一郎は、窃盗・殺人の罪で服役中、最愛の姉・みどりの葬儀に参列できないことを悔やんでいた。出所後、彼は甥・姪に会いに家を訪れた。迎え入れてくれたのは、みどりの結婚相手、高澤芳男だった。
　だが、その直後、大樹の部屋に呼びかけても返事がない。異変を察した高澤芳男は、扉を開けようとするが、開けられなかった。部屋には鍵が掛かっているのだという。
　ドリルで穴を開け、扉を開けようとするが、うまくできない高澤芳男に代わり、サムターン回しで会田愛一郎は扉を開けた。"プロ"の彼の腕をもってしても、何やら鍵の部分が滑ってうまく開けられなかった。格闘の末、彼は扉を開けることに成功する。
　中では、練炭による一酸化炭素中毒で、高澤大樹が遺体となって発見された。自殺に疑いをもった会田愛一郎は、青砥純子に相談することにした。
【ネタバレ】
　犯人は、高澤芳男だった。睡眠薬で寝かせた大樹を、練炭と一緒に部屋に置き、一酸化炭素中毒で殺害したのだった。部屋は、実は鍵が掛かっていなかったのだった。目張りで部屋の気密性を高め、エアコンで室温を上げ、ドアにかかる圧力を高くして扉を開けられないようにしたのだった。
　その後、ドアに穴を開けてドアにかかる気圧を下げ、さらにドリルの回転で紙テープを巻きとるようにして鍵を閉めたのだった。その状態で会田愛一郎に鍵を開けさせた。会田愛一郎は、最初からこの事件に利用されることを想定された人物だったのだ。
　動機としては、大樹・美樹に遺された祖父母の莫大な遺産だった。それを自分のものとすべく、高澤芳男が目論んだことだったのだ。

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