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「百年法」のネタバレ・あらすじ

2012.10.07 (Sun)
1945年、太平洋戦争終結。日本には原子爆弾が6発投下され、都市部は壊滅。人口は半減。日本全土を支配下に置いたアメリカは天皇制を廃し、共和制を敷いた。

そんな中、GHQはすでにアメリカで実用化されていたヒト不老化技術(human-ageless-virus inoculation:HAVI)を日本に導入することを決定する。そのHAVIの導入時に一つの法律が制定された。生存制限法、通称「百年法」である。

生存制限法とは、「HAVIを受ける者は、処置後百年を経て、生存権を始めあらゆる権利を放棄することに同意せねばならない」というものであり、つまりは、百年後には死ななければならない。そんな日本で、その最初の百年が迫っていた。

ところが、政治家の中にも初年度の百年法施行により死亡せねばならない人物もおり、百年法の凍結を望む声もあった。百年法の凍結は、「国力の低下、衰退をもたらす」と内務省官僚・遊佐章仁らは考え、凍結を阻止しようと奔走していた。もちろん、百年法の施行は国民の反発を受けることも考えられる。そこで、凍結するか否かを首相は「国民投票で決める」と宣言してしまう。

その最中、笹原内務事務次官は国民に訴えかけるメッセージを残し、自死した。そのVTRを内務省官僚・遊佐は内務大臣の意向を無視し、リークする。さらには、百年法撤廃により、さまざまなデメリットがあるということをまとめた著者、光谷耕吉による論文・通称「Mレポート」を秘密裏にリークした。こうした工作活動を行ったが、国民投票で凍結が決定されてしまう。このことを受けて、遊佐は内務省を辞任し、百年法凍結に反対していた新時代党党首・牛島諒一の秘書として活躍し始める。

百年法は凍結決定されたが、それを受けて国民の特に若い層からの反発、フラストレーションは増大していった。高年齢層が退職しないため、働き口がないのだ。その反発はついに、暴動へと発展する。百年法凍結解除が叫ばれる中、総選挙で新時代党が躍進する。新時代党党首・牛島諒一は大統領となり、遊佐は首相となった。形骸的であった大統領の権限を拡充し、いわば独裁的な権力を持つことができるようにしたのだ。このことを受けて、大統領に逆らえない政治家達は、ついに百年法を凍結解除することになった。

百年法施行により、HAVIを受けた後、百年の生存期間を経た国民たちは粛々と"処分"されていった。ところが、HAVI後百年を経ても生き延びたいと願うものたちもいる。彼らは"拒否者"と呼ばれ、人里離れた村々に住んでいた。

拒否者の中には現政権の転覆を図るテロリスト・阿那谷童人なる人物もいると目され、爆弾テロが行われ、処分場であるターミナルセンター爆破も行われた。阿那谷童人を一刻も探し出し、捕らえる必要があり、大統領は主席補佐官である南木完和の提案でセンチュリオンを設立する。

センチュリオンによる拒否村の殲滅が行われたが、その前に阿那谷童人と目されていた人物は、自死していた。永遠に続くと考えられるような生活に耐えられなくなり、自ら命を経ったのだ。それで完結かと思われたが、再び阿那谷童人によるメッセージが政府に向けて届けられる。新たなる阿那谷童人として目されていたのは、仁科ケンというHAVIを受けていないものだった。

仁科ケンは、拒否村の元・村長が恩師であり、彼を助ける目的で拒否村に居住していた。テロにも関与していないのだが、スケープゴートとして警察局局長・兵藤桂により捕らえられてしまう。そこで仁科ケンは、同じく拒否村にいたガイに、事の真相を聞かされる。

ガイは、百年法施行が行われなかった場合を想定して書かれた「Mレポート」を書いた光谷耕吉なる人物だった。Mレポートの公表は世間への影響が甚大である、とのことで握りつぶされていた。そのことに反発した光谷耕吉(ガイ)は、自身の論文のモデルケースでもある"永遠村"などと自ら呼ぶ拒否村で暮らすことにしたのだった。そんな中、拒否村で次々に自死を図るものが出て全滅したことや、センチュリオンによる村人殲滅が行われたことに遭遇する。

こうした"阿那谷童人"を中心とした流れは、実は首相をその座から引きずり下ろすことを目論んだ大統領主席補佐官・南木と、警察局局長・兵藤による画策だった。テロも自らが計画・実行したもので、"阿那谷童人"なる人物は存在しなかったのだ。

そんな中、牛島大統領は突発性多臓器癌(Sudden Multiple Organ Cancer;SMOC)により倒れる。この機に乗じた警察局局長・兵藤は、遊佐首相をテロに関わり、大統領暗殺を目論んだとして拘束。さらには憲法の停止を発令し、クーデターを起こす。ところが、大統領がセンチュリオンに「自らが命令不可能となった際には、首相の命を受けること」と命令していたことから、このクーデターはすぐさま収束した。

その後、アメリカからHAVIの加盟国に通達がなされる。HAVIを受けたものは必ずSMOCを発症する、という内容のもので、そのSMOC発症者は年々増加し、HAVIを受けた人たちは16年後にはすべて死に絶える、とする通達だった。

このことを受けて、遊佐首相は大統領と首相を兼務することができる「独裁官」を設立することとした。16年の間に、日本の中枢を担う人物たちはすべからく死亡する。残るはHAVIを受けていない若い子供たちばかりだった。そんな状況かで悠長に国の命運を担う国会運営している場合ではない、といったことで、20年限定で「独裁官」は設立される。

20年後、4代目独裁官に就いた仁科ケンの演説で、独裁官の地位は終わりを迎える。そして、再び議会制民主主義を迎えることとなったのだった。


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