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「名無しの十字架」あらすじ・ネタバレ

2012.11.24 (Sat)
【登場人物】
・三上哲平:元・週刊誌のライター。詐欺師に騙され、事実無根の記事を書いてしまい、ライター業から足を洗うことになる。その後、横浜市伊勢佐木町で「横浜ヘッドロック」というプロレスショップの雇われ店長となった。だが、裏稼業として顧客にアンダーグラウンドな格闘にまつわるフィルムを探し出し、販売するという"手配師"としての仕事を行なっていた。

・ジャック・カールソン:三上とは学生時代からの友人。アメリカのプロレス専門誌に寄稿する仲間として知り合った。彼が今回、三上に「キックボクサーが虎と戦い、死亡もしくは重傷を負ったというフィルムがあるらしい。そのフィルムとキックボクサーを探しだして欲しい」と依頼したことから、物語は始まった。

・新崎真太郎:1980年代にミドル級のキックボクサーとして活躍していたが、突如として失踪。その後、行方知れずとなって死亡扱いとなっていた。

・雪江:シンガーを夢見て函館から上京するも、鳴かず飛ばずであった。夢破れ、自分探しをしていたところで若き日の新崎に出会う。彼のひたむきさに心惹かれ、同棲する。その最中、突如として新崎が失踪。いつか再び現れるのではないか、と彼を待ち続けていた。

・良寛:87歳で横浜を漂う元・ジャズマン、トランペット奏者。記憶を失い、廃人と化していた新崎をホテルに住まわせていた。

・柿塚光留:一部上場企業・ケイミーツ社社長。「虎対格闘家」のマッチメイクを行った張本人。

【あらすじ】
横浜市伊勢佐木町で「横浜ヘッドロック」というプロレスショップの雇われ店長をしていた三上哲平は、顧客からあるジャック・カールソンから、ある映像を探してほしい、と依頼を受ける。それは、トラと人間が戦った映像を収めたというフィルムだった。

「男は檻の中から生還し、横浜のとある街に潜んでいるという伝説がある」と伝えられる。三上は、ジャックからその男とフィルムを探し出して欲しい、と告げられる。

横浜の酒場で取材を行い、「ナナシ」と呼ばれる顔に酷い傷を負った男がいることを聞きつける。さらに、その男が虎と闘って傷を負った、と言っていたと。一方で、26年前にその試合が行われた可能性がある、とその試合に誘われていたという空手家からの証言を得て、同時期に活躍していたミドル級のキックボクサー、新崎真太郎こそが瀕死の重傷を負ったナナシではないか、と三上は考えた。

取材を進めるにあたって、良寛なる老人に出会い、彼がナナシの世話を焼いていたことを知る。ナナシこと新崎に出会った三上は、フィルムを保管していた横浜新聞の元社長・霧島修からフィルムを受け取る。霧島も柿崎の悪行を世間に明るみにしたかったのだが、圧力が掛かってできなかった。その思いを果たしてもらうために、フィルムを三上に託すこととなった。

そのフィルムを新崎に見せると、新崎は記憶を取り戻した。そして、彼の口から虎と闘うことになるまでが語られた。新崎は、横浜港の貯木場で働く一方で、キックボクサーとして活躍していた。だが、試合運びが上手くなく、スター性にも恵まれなかった。

そんな最中、雪江に出会う。雪江は、シンガーを夢見ていたが、夢破れて横浜で彷徨って自分探しをしている女性だった。彼は雪江に恋し、同棲を始めた。そして、キックボクシングの道を諦めることにしていた。だが、そこに塩谷ジム会長から「虎と闘わないか?300万円も手に入る」と誘われる。

「単なるショーで、安全だ。肢には手袋がされていて、爪からは守られる。万が一、危険な場合は虎使いが抑えるし、麻酔銃もある」と言われ、雪江との生活資金のために、と誘いに新崎は承諾した。だが、不運が重なった。虎は苛立ち凶暴性が増していた。さらには、肢のグローブが外れ、爪が剥き出しになっていた。前足の鋭い攻撃が新崎の顔に浴びせられた。その一撃で、新崎は瀕死の重傷を負った。

その後、新崎はタイに秘密裏に連れて行かれ、地下闘技場で闘わされ続けた。闘うには限界を迎えた新崎は、柿塚に「用済みになったら殺せ」と命じられていたにも関わらず、遺体の処理費用よりは日本に密航させた方が安上がりだ、との理由で日本へ送られ、命拾いしたのだった。

その間のことは、柿塚に直接会い、柿塚自身から語られる。そこから、新崎は1年間入院して意識不明であった。この間、マッチメイクをした柿塚が手を回し、全ての事実を隠蔽していたのだった。その後、意識を取り戻した新崎は暴れ、押さえつけた警備員を階段から突き落としてしまい、新崎をタイへ送り込むしかなかった、と知らされる。

全てを知った新崎は、雪江にひと目会いたくなり、函館へと向かった。そこで新崎は雪江に正体を明かした。雪江が働いていたラーメン屋には、ペアで買った十字架のネックレスが飾られていた。雪江は、新崎のことを待ち続けていたのだった。その後、雪江と新崎は、駆け落ちをして暮らし始めることとなった。

一方で、三上はフィルムを見返して、ある事実に気づく。「虎対人間」のフィルムの中に、ジャックとよく似た人物が映し出されていた。そしてその傍らには、ジャックの幼少時代とかんがえられる姿が映し出されていた。三上は、ジャックが偽名であり、本名をディック・ケイルといって、ケイル・コットンカンパニーという会社の副社長であることを知る。ケイル・コットンカンパニーは、柿塚の競合会社であった。柿塚の弱点として、「虎対人間」のフィルムを探し求めていたのだ、と判明する。三上は、ディックにフィルムを渡さず、沖縄の海へと投げ捨てた。

雪江からの手紙で、三上は新崎の死を知る。新崎は、肝臓癌で亡くなっていたという。最愛の雪江に看取られ、静かに息を引き取った。雪江は手紙の中で、「一緒にいられたのは、合わせて二年にも満たない期間でしたが、新崎と過ごした時間の密度は、世の中のどんな恋人たちが過ごした時間よりも濃いものだったと思います。…結婚はできなかったけれど、私にとって新崎真太郎は永遠の恋人なのです」と締めくくった。


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