「アヒルと鴨のコインロッカー」あらすじ・ネタバレ
2013.10.01 (Tue)
起:"河崎"という奇妙な男
大学入学のため仙台に越してきた椎名(濱田岳)が、引っ越しの片付けをしながらボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさんでいると、隣人の河崎(瑛太)に声を掛けられる。ボブディランが好きだという共通点で、2人は仲良くなる。
どこかミステリアスな雰囲気を持つ河崎は、一緒に本屋を襲おうという、おかしな計画を椎名に突然持ちかけた。同じアパートに住む孤独なブータン人留学生のドルジ(田村圭生)に広辞苑を贈りたいというのだ。
承:本屋襲撃
気乗りしない椎名だが、翌日、河崎に言われるままにモデルガン片手に本屋を襲撃する。だが、彼らが奪ってきたのは広辞苑ではなく広辞林だった。
襲った本屋が気になり、こっそり覗きに行く椎名。それとなく店員(平田薫)に事件の事を聞いてみると、店長の息子で店員の江尻(関暁夫)が騒いだだけとの答が返ってきた。
転:河崎、ドルジ、琴美をめぐる物語
実は、本屋襲撃計画の裏には、河崎とドルジ、そして琴美(関めぐみ)という女性の物語が隠されていた。
椎名は、二年前に琴美が働いていたペットショップの店長である麗子(大塚寧々)から、河崎はすでにこの世にいないことを聞かされる。実は椎名が河崎だと思っていた男の正体はドルジで、本物の河崎(松田龍平)はHIVに感染して死亡していたのだ。
ドルジと琴美は恋人関係にあり、河崎は2人の友人であった。琴美は近所で多発していた動物虐待事件を追っていた。ドルジも協力し、虐待を行っていた犯人を、ブータン流の石投げで、撃退した。ところが、琴美は住所や電話番号が記載されたバスの定期券を落としていってしまい、犯人達に素性が明らかとなってしまう。
犯人達に襲撃された琴美は、河崎に助けられる。その後も、嫌がらせの電話を受けていた琴美だったが、留守電に残された犯人達からの嫌がらせのメッセージにボーリング場の音が入っていることに気付き、ボーリング場に向かう。
犯人達の車があるのを発見する。警察に通報したが、犯人達は逃げてしまう。琴美は、犯人たちの車の前に立ち塞がるが、撥ねられて死亡してしまったのだった。ボーリング場を出たところで走って来たトラックに車は衝突。犯人も三人のうち二人が死亡。
残った犯人が、江尻(関暁夫)という本屋の店員だと知った河崎とドルジは復讐を誓うが、その途中で河崎が病に倒れてしまったのだ。
結:ドルジとの別れ
ドルジは河崎に成り済まし、江尻に復讐をしたのだった。江尻を河原で木にしばりつけ、生きながらに鳥葬にしようとしていたのだった。ドルジの後をつけた麗子と椎名は、瀕死の江尻を見つけたのだった。
すべてを知った椎名だが、まもなく家庭の事情で故郷に帰ることになる。麗子は椎名とドルジを仙台駅まで見送り、ドルジに自首を勧める。そして椎名とドルジは、それぞれの道に向かって歩き出すのだった。ドルジは、犬を助けようとして、車道に飛び出し、物語は終わる。
補足
・アヒル/鴨
外来種のアヒル=ドルジ、日本産の鴨=琴美や河崎、椎名に例えたもの。
・コインロッカー
ラストで、ボブ・ディランの曲をコインロッカーに閉じ込めたのは、神様=河崎が神の声だと言っていたボブ・ディランの曲を閉じ込め、神様に見て見ぬふりをしてもらおうとする、という意味の行為である。
なお、wikiによると原作と映画の違いは(原作との主な相違点)、
・原作では2年前と現在が交互に展開するが、映画では現在を主軸に必要に応じて琴美のエピソードが回想として挿入される。
・原作では「ライク・ア・ローリング・ストーン」が最後に使われるが、映画版では一貫して「風に吹かれて」が使われている。
・原作と異なり江尻は麗子と椎名が河崎を尾行し、2人が救出している。また、「鳥葬」を行うに至った仏教的な動機が省略されている。
・2年前の河崎は原作だとHIVを感染させたことを気に病み自殺しているが、映画版では江尻のいる本屋を襲おうとする直前にエイズが発症し、ドルジが車に乗せて病院に運ぼうとするがそのまま助手席で息を引き取っている。
・映画では2年前の河崎がドルジに「本当に生まれ変わるんだろうな」と言ったまま死亡するが、原作では琴美、ドルジ、河崎で動物園に行った時に撮った写真に同様のメッセージが書かれているだけだった。
・ラストの展開で「神様を閉じこめに行こう」と提案するのは、河崎ではなく椎名となっている。
などがあるそうだ。
ネタバレ作品一覧
トップページへ「1分で分かるネタバレ」
| トップページへ |