原作「ソロモンの偽証」あらすじ・ネタバレ
2015.03.12 (Thu)
簡単なあらすじ
1) 城東第三中学校の生徒である柏木卓也が、学校の屋上から転落して死亡する。警察は事故と判断するが、中学に届けられた匿名の告発状により、彼をイジメていた大出俊次が犯人であると名指しされていた。
2) 記者により記事にもなり、その告発状は大きな騒動を引き起こす。その中で、柏木と大出のクラスメイトである藤野涼子が、学校内裁判を開くことを提案する。
3) 裁判の中、実は学校内裁判を行うことを発起した柏木の友人・神原和彦が、事件のあらましを知っていると判明する。和彦は、父が母を殺害し、父自体も自殺をしていたという過去があった。そのため、塞ぎこんでいた。そんな中、柏木と出会った。
4) 柏木は、実は和彦を見下し、優越感を感じて、大出にイジメられていた惨めさや心の傷を癒やし、自尊心を保とうとしていたのだった。そして、柏木は和彦に、「父母の思い出の地を巡り、トラウマを克服しよう」と提案するのだったが、実は克服など望んでおらず、失敗して、より精神的に追い詰められることを期待していたのだった。
5) だが、期待に反して和彦は柏木の提案をやりきる。そして、柏木に学校の屋上呼び出された。そこで、和彦は、柏木に感謝するのだったが、その言葉を聞いた柏木は、そのようなことを望んでいなかったため、和彦を罵倒するのだった。去ろうとした和彦に、柏木は「このまま去ったら自殺する」と言われたが、そのまま和彦は去る。そして、柏木は自殺したのだった。
6) 和彦は、自責の念に駆られ、学校内裁判を提案。そして、その場で、裁かれることを望んだのだった。だが、裁判は大出の無罪判決で終わり、和彦は裁かれることはなかったのだった。
起:柏木の死
1991年12月25日の朝、城東第三中学校の生徒である柏木卓也が、遺体となって彼の通う中学校の校庭で発見された。屋上から転落して死亡したと考えられ、警察は自殺と断定した。津崎校長は、事件についての情報を口外しないようにさせ、事件が忘れられるのを待っていた。
ところが、柏木卓也は自殺ではなく、同じ中学に通う大出俊次が殺したとする匿名の3通の告発状が届けられたため、騒動となる。柏木卓也は、不良生徒・大出俊次と衝突し、登校拒否になっていたという背景があったのだった。
島津校長は、やはり告発状をなかったことにし、隠蔽しようとする。ところが、ジャーナリストの茂木悦男が嗅ぎつけてしまう。記事により、告発状の件は公になってしまう。大出犯行説が生徒の間でも噂されるようになり、不安が広がっていた。
承:学校内裁判開廷
噂は収束することがなく、柏木と大出のクラスメイトである藤野涼子が、学校内裁判を開くことを提案する。大出が柏木を殺していない事は明白だったが、噂を信じる者も多かった。そのため、大出の汚名を晴らすため、裁判を開くことを提案したのだった。
反対する教師もいたが、柏木の友人・神原和彦(他校生)も加わり、学校内裁判は開廷する。陪審員制で裁判を行い、藤野は検事、神原は弁護、柏木の死体の第一発見者・野田健一が弁護助手の役目を行い、大出俊次は当然ながら被告として出廷した。
裁判が進む中、三宅樹里という生徒が告発状の犯人であることが判明する。三宅は、大出にイジメを受けており、その復讐のために匿名の告発状を送ったのだった。そして、学校内裁判中、浅井松子という女生徒が交通事故で亡くなる。この浅井松子は、三宅の友人だった。告発状の作成を手伝ったのだが、茂木記者の記事により、話が大きくなってしまったため、不安定な心理状態の中、事故に遭ってしまった。
そのことに良心の呵責を覚えた三宅は、「松子を殺したのは私のようなもの」と、言い出したのだった。
転:神原和彦の証言
神原和彦が証言台に立つと、学校内裁判の発起人が彼自身であることが明らかとなった。また、和彦は友人のはずである亡くなった柏木について語りだす。
和彦の実父はアルコール依存症で、妻を殺害し、自身もまた自殺していた。その事件が暗い影を落とし、、和彦は塞ぎこむようになっていた。そんな時に、和彦は柏木と出会う。
柏木は、大出と衝突し、不登校となっていた。転校するなどの選択は、柏木にとって負けを意味をするもので、プライドが許さなかった。柏木も悩み、どうすべきか道を見いだせてはいなかった。
柏木は、和彦と話すことで優越感を感じ、何とか精神の安定をはかっていたのだった。その中で、柏木は「両親の思い出の地を巡って、過去のトラウマを克服できるか、試してみよう」と提案した。柏木は、和彦が途中で挫折することを期待していた。
だが、期待に反して和彦は全てを巡り、過去のトラウマを乗り越える。柏木は、あのクリスマスの前日、和彦を校舎の屋上に呼び出したのだった。そこで、和彦は柏木に感謝したのだった。だが、それは和彦にとって望んだ結末ではなかった。そのため、和彦を責め立て、罵った。そこで、柏木は和彦を友人と思っていたわけではなく、見下していたことを明かすのだった。
和彦は、柏木を置いて去ろうとした。そこで、柏木は「去ったら自殺する」と言うのだったが、和彦は彼を無視して立ち去るのだった。翌日、柏木が遺体となって発見され、和彦は自責の念に駆られたのだった。そのため、自身は裁かれるべきと考え、学校内裁判を提案したのだった。
結:判決
未必の故意としての罪があると、和彦は自身の罪について裁判で問う。和彦とともに、弁護士役を担っていた野田健一は、和彦に殺意はなく、柏木の方が実は和彦を追い込み、死に追いやろうとしたのではないか、と指摘する。
だが、その意見に和彦は納得しなかった。和彦の証言により、"事件"のあらましが明らかとなる。だが、学校内裁判は、被告・大出俊次の無罪、そして和彦は罪に問うことはなく、自ら死を選んだ柏木こそが犯人である、と決着をつけたのだった。
裁判は終わったが、その裁判自体、代々と語り継がれる伝説となっていた。その後、2010年に城東第三中学校に、教師として野田健一が帰ってきた。彼は、現在の校長に学校内裁判について訊かれ、「あの裁判があったからこそ、僕らは本当の友達になれました」と語るのだった。
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