米澤穂信「満願-万灯」あらすじ・ネタバレ
2015.06.13 (Sat)
簡単なあらすじ
1) 井桁商事に勤める伊丹は、商社マンとして、バングラデシュで天然ガス田開発を行っていた。
2) ガス田開発に反対するアラム・アベッドを殺害すれば、ガス田開発を許可すると言われた伊丹、そして他社の森下は、アラムをクルマで轢き殺す。罪の意識に苛まれた森下は退職していた。事件を表沙汰にされたくない伊丹は、森下を殺害する。
3) 森下とは、何の接点もないため、警察の手は伸びてこないと考えていたが、森下はコレラに感染していた。そして、伊丹もまたコレラのような症状が現れていた。酷い吐き気の中、思わぬ誤算に伊丹は、「裁きが下ったのだろうか」とホテルで考えていた。
起:ボイシャク村からの手紙
井桁商事に勤める伊丹は、商社マンとして、バングラデシュで天然ガス田開発を行っていた。ボイシャク村に、開発を行う際、集落に人が休める場所を確保して欲しいとの許可を得るために部下・斉藤は出向くが、その村には外国人を排斥するグループがいた。
アラム・アベッドという長老は、開発をしにやってきたという斉藤に対し、仲間に命じて暴行した。そして、村に近づくな、と警告したのだった。開発が滞ってしまっている中、ある日、ボイシャク村から「1人で来い」との手紙を受ける。
罠ではないか、と疑う伊丹だったが、ボイシャク村が一枚岩ではなく、アラムたちのグループ以外には、開発を推進する者たちもいると知り、伊丹は交渉に向かう。
承:シャハ・ジンナーの依頼
伊丹がボイシャク村に出向くと、そこにはフランスのエネルギー企業・OGOインドの森下がいた。森下もまた、ボイシャク村に呼び出されていたのだった。
高齢の指導者たちは、外国企業の開発により村に利益をもたらすようにしたいと希望していたが、アラムは、一時的にガス田開発を他国企業にさせて利益を得るのではなく、村自体がガス田開発を行い、全てを将来のバングラデシュのために使用するといった、村の未来を考えるべきだと考えていた。
シャハ・ジンナーという高齢の指導者は、反アラム派であり、伊丹や森下にガス田開発を行うよう勧めようとしていた。その見返りとして、村のインフラ整備や、医療設備の充実を求めた。
伊丹・森下は、これに了承する。だが、アラムの存在が邪魔であり、シャハは、アラムを殺害することもまた、条件として提示した。戸惑う森下だったが、伊丹はアラム殺害を決意する。
転:森下を追って
伊丹たちは、シャハの指示の通り、アラムを轢き殺す。遺体を確認した森下は、罪の意識や怯えを感じているようだった。後日、伊丹は他社参入という事態を懸念し、シャハの名を使用して、OGOインドに連絡をする。だが、森下は既に退職していた。
森下は、東京のホテルに身を置いていた。森下がアラム殺害の件を表沙汰にすることを恐れた伊丹は、森下を口封じのために消すことを決意する。
日本企業の視察という名目で日本に戻った伊丹は、高熱を出し、体調を崩してしまい、空港の検疫で検査を受けることになった。その後、森下の動向を探り、隙を見て森下に接触する。
結:裁き
森下は、バングラデシュの一件の後、体調が思わしくないのだという。そして、自首するどころか、ボイシャク村のことを世間に公表しようなどと言い出したため、伊丹は森下を用意していた金槌で殴った上で絞殺した。遺体は、房総の山に埋めた。
森下は失踪したことになり、全ては闇に葬られた…かに見えた。だが、森下はコレラに罹患していた。そして、会っていた女性・子供に伝染し、大きく報道されていた。そして、伊丹もまた、酷い吐き気を催していた。
森下と伊丹は、シャハたちに会った際、出されたチャイに口をつけていた。ぬるく、加熱が不十分だったチャイを口にしたため、コレラに感染してしまったのだった。森下との接点が何もなく日本を離れられると考えていた伊丹だったが、コレラ感染は大きな誤算だった。
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