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米澤穂信「満願-満願」あらすじ・ネタバレ

2015.06.13 (Sat)

簡単なあらすじ


1) 藤井は、司法試験の受験生時代に下宿していた家の大家・鵜川妙子の裁判を担当した。妙子は、夫が金を借りていた男・矢場英司を殺害した。
2) 妙子は、家宝としていた掛け軸を大事にしており、その掛け軸を借金のカタにとらせまいとして、事件を起こした。
3) 矢場を刺殺し、血液が付着した掛け軸は、警察に押収品として保管されていた。また、借金は夫が病死して保険金が下りたため、支払うことができた。そのため、掛け軸は妙子の狙いどおり、彼女のもとへと残されたのだった。

起:鵜川妙子 服役囚


藤井は、鵜川妙子の裁判を担当した弁護士である。実は、弁護士になる前、司法試験の勉強のため、下宿していた家の大家が鵜川重春・妙子夫婦だった。その縁もあり、藤井は、妙子を弁護したのだった。

鵜川重春は、畳屋をやっていたが、その不誠実な仕事ぶりで、家計は火の車だった。そのため、空いた部屋に下宿人を入れることにしたのだった。重春は、藤井を邪険にする様子だったが、妙子は優しく、度々、差し入れを入れてくれたり、話し相手になってくれたりした。

「藤井さん、よく勉強なさいね」と妙子は藤井によく言っていた。妙子の先祖は私塾を開、身分の低い武士を支えて出世を助けたのだという。その功績から、先祖は島津の殿様から掛け軸を授けられた。妙子は、実家から持ってきたその掛け軸を家宝として大事にしていた。

承:事件発生


妙子は、矢場英司を殺害したのだという。死因は、腹部を刺されたことで出血し、矢場はショック死したのだという。

凶器は、妙子がいつも台所でつかっていた包丁であり、座布団やダルマには血痕が残っていた。妙子は殺害後、死体をリアカーでひと目の付かない空き地に運んだ。ダルマは、背中に血痕が残っていた。

転:裁判の行方


家賃が払えない時、妙子に相談するとへそくりの金を藤井に渡し、貸してくれた。その際、後ろめたい行為だと思ったのか、妙子はダルマに後ろ向かせ、見えないようにしていたことを藤井は思い出していた。そのような妙子の支えもあり、藤井は無事、司法試験に合格できた。

重春は、妙子に内緒で借金で派手に遊び歩いていた。カネを借りていたのは、矢場だった。重春が肝硬変で入院してからは、矢場は妙子に返済を迫っていた。藤井は、妙子を弁護する上で、「矢場は借金を盾に妙子に関係を迫った。妙子は、身を守るため、衝動的に犯行に及び、これは正当防衛である」と主張した。

だが、主張は認められず、借金から逃れるために行った計画的な殺人であると裁判長は認定した。懲役8年の実刑判決が下されたが、妙子は控訴を行わなかった。借金は、重春の病死による保険金で支払うことはできた。

結:妙子の計画


ダルマが背を向けていたことから、藤井は、妙子が計画して矢場を殺害しようとしていたのではないか、と考えた。それは、ダルマの視線を嫌って、後ろを向かせたのではないか、ということだった。

さらに、全ては掛け軸を守るために矢場を殺害したのではないか、と藤井は考えた。妙子は、家財を差し押さえられた。だが、掛け軸は血液が付着しており、証拠品として警察に押収されたため、差し押さえられなかったのだった。

事件の結果として掛け軸に血液が付着したのではなく、妙子は血液を飛ばすために、事件を犯したのだった。現に、血痕は絵の部分ではなく、掛け軸の地の部分にのみ血液がついていた。座布団を絵の部分にあて、血液のついた包丁を振って血液を飛ばしたようだった。

また、控訴を行わなかったのは、重春が死亡し、借金が保険金で支払われ、証拠品として保管させておく意味がなくなったからだった。

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