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小野不由美「残穢」あらすじ・ネタバレ

2015.06.21 (Sun)

簡単なあらすじ


1) ホラー小説作家の「私」は、読者からマンションの自室で起こるという怪奇現象について知らされる。そして、そのマンションでは、「垂れ下がった着物の帯が畳にこすれる音がする」「いないはずの赤ちゃんの泣き声がする」といった怪奇現象が多発していた。
2) 「首吊り自殺した女性の霊がいるのではないか」ということが判明し、さらには、そのマンションの前に建てられていた家に住んでいた高野トシヱという人物が自殺していたことがわかった。また、周囲では、次々に嬰児を殺害・遺棄したという事件もまた発生していた。
3) 「触穢」(穢れに触れると、その穢れが伝染するという考え)が原因であり、大本は福岡にある奥山家ではないかと「私」は考える。

起:読者からの手紙


ホラー小説を主に書いている作家の「私」は、ある怪奇現象が自宅で起こっているという読者からの手紙を受け取る。その読者とは、30代女性の久保という編集プロダクションのライターであり、「岡谷マンションの一室」に住んでいた。そこで、「寝室として使っている和室で、箒(ほうき)で床を掃いているような音がする」と手紙には書かれていた。

「私」は、久保に連絡をとり始め、その中で「箒ではなく、着物の帯が床に擦れているような様子を見た」と明かされる。着物で首吊り自殺をした女性の幽霊がいるのではないか、と久保と「私」は考える。

一方、「私」は、読者が体験した怪談話の手紙の中に、同様の怪奇現象が書かれていたことを思い出した。その読者は、屋嶋といい、久保と同じマンションに住んでいた。すでに屋嶋は転居していたが、屋嶋は401号室、久保は204号室であり、別の部屋に住んでいたことが判明した。

承:岡谷マンション


自殺者や事件があったことを、不動産会社が隠していたのではないか、と調べたが、そのような事件などはないようだった。また、久保がマンションの住人に話を聞くと、203号室も次々に住人が入れ替わっていることが分かった。

204号室に住んでいた男性・梶原亮は、久保たちの住むマンションから転居後、首を吊って自殺していた。転居先のアパートのオーナー・伊藤は、梶原が死亡する直前、梶原が自分たちの部屋に夜間、やって来るという夢を見たと語っていた。

さらに、久保は近所に取材を行うと、マンションが建つ前の土地で、小井戸という男性が住んでいたことが判明する。小井戸は、自宅で孤独死していた。妻が亡き後、小井戸の家はゴミ屋敷となっており、近所でトラブルになっていたという。「私」は、小井戸が自宅をゴミで埋め尽くすことによって、怪奇現象が起こらないようにしたのではないか、と推測した。

「私」は、401号室に住んでいた屋嶋に、転送されることを期待して手紙を出した。すると、屋嶋から電話が掛かっていて、何故転居したかについて語った。部屋に、いるはずのない赤ん坊の泣き声が聞こえるようになったり、何かがいる気配がするといった現象が起こり、早々に引っ越しをしたのだという。また、屋嶋から、近くに住む岡谷団地の鈴木という人物も、同様な現象を経験したのだという。

近所の家に住んでいた政春家の人々は、新興宗教にのめり込んだ結果、一家離散に至ったのだという。その新興宗教に入信するきっかけも、怪奇現象が関わっているようだった。自宅でも、何かのお祓いのような儀式が行われていたのだという。

転:触穢


久保は、調査の結果、小井戸が住んでいた土地は元々、高野家が住んでいたのだと判明する。そして、その高野家では、トシヱという女性が、娘・礼子の結婚式の日に首吊り自殺をしたのだという。

トシヱは、以前から「赤ん坊の泣き声が聞こえて眠れない」と漏らしており、式当日も同様のことを口走り、先に返され、自宅で自殺したのだと判明した。さらに、「火事で亡くなった幽霊が出る」と噂の植竹工業という工場近くの長屋で、中村美佐緒という女性が、次々に子供を産んでは新生児を殺害・自宅に遺棄していたという事件があったことが分かった。

「私」は、「触穢」ではないかと考える。「触穢」とは、穢れに触れると、その穢れが伝染するという考えである。「私」や久保もまた、その穢れに触れてしまったのではないか、と恐れ始めていた。

結:奥山家


長屋の跡地に住んでいた川原家では、放火や家庭内暴力を行う息子がおり、両親死亡後は、精神を病んで行方不明になっているのだという。

さらに遡ると、団地の建つ前には、吉兼友三郎という精神病患者が、座敷牢に閉じ込められていた(私宅監置と呼ばれる)。その友三郎もまた、家族への暴力や、自宅への放火を行っており、この奇妙な符合の一致に「私」は気づくのだった。また、次々に不幸が重なる吉兼家には、幽霊の絵が飾られていた。その絵は、吉兼家に嫁いだ三喜が実家から持ち込んだものだった。

「私」は、"震源地"が福岡にある三喜の実家・奥山家にあるのではないかと考える。三喜の父・奥山良宜は、炭鉱を経営しており、借金で火の車となったことをきっかけに、無理心中を図った。奥山家の炭鉱の跡地には、ラブホテルが建っており、心霊スポットとして有名であった。

奥山家は、蓮見家、真辺家という二家になり、そこでもやはり怪談話が残されていた。真辺家には、放火犯が頻出したのだという。また、真辺幹男は、実際に事件で使われた刀など、曰くつきの刀を集めていた。だが、実際に真辺家を訪れると、ほとんどの部屋に仏壇や神棚があったり、床柱御札だらけであったりと、「何かと戦った痕」があり、曰くつきの品を集め、魔を持って魔を払うといった意図があったのではないかと考えた。

「私」は、首に異変を感じていた。だが、「私」は良薬に恵まれ、症状も改善した。久保も部屋を移り変わり、問題なく過ごせていた。


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