「チャイルド44 森に消えた子供たち」あらすじ・ネタバレ
2015.06.24 (Wed)
簡単なあらすじ
1) 1955年、ソ連国家保安省(MGB)のレオ・デミドフは、モスクワで部下の子供が惨殺される事件に遭遇する。だが、当時のソ連では「殺人は資本主義国の病理」とされ、ソ連に事件は存在しない、と事故死として処理される。
2) レオは、妻にスパイ疑惑をかけられ、妻を逮捕・連行することができず、左遷される。だが、左遷先でも子供が犠牲となる事件が発生し、捜査を開始する。
3) 犯人である ヴラジミール・マレーヴィチは、トラック工場に勤める人物であり、出張のたびに、各地で事件を起こしていた。レオは犯人と対峙し、逮捕しようとするも、元部下のワシーリー・イリッチ・ニキーチンに犯人を射殺されてしまう。レオもまた、闇に葬られそうになるが、ワシーリーを返り討ちにし、上司の失脚もあり、再びMGBに復帰することができたのだった。
起:レオ・デミドフ
1933年、ホロドモール大飢饉により、飢餓に喘ぐソビエト連邦では、孤児が多く生み出されることになり、レオ・デミドフもまた、孤児院で育った。だが、孤独に押し潰されそうになったレオは、1人で孤児院を飛び出す。そして、ソ連国家保安省(MGB)に入省したレオは、将来が嘱望されていた。
レオは、スパイの疑いを掛けられていた獣医アナトリー・ブロツキーを逮捕する。ところが、レオの部下であるワシーリー・イリッチ・ニキーチンが、ブロツキーを匿っていた農夫ミハイル・ジノヴィエフとその妻を銃殺。それに激昂したレオは、ワシーリーに銃を向けて殴り、「問題を起こすな」と、上司のヤヌズ・クズミン少佐に注意を受けた。
承:左遷
ソ連では、幼児が行方不明・惨殺体で発見される事件が連続して発生した。9歳から14歳の子供たちの変死体が次々に見つかり、死体は一様に全裸で胃が摘出されており、さらに周囲に川や湖がないにも関わらず、溺死している状態であった。多くの不審な点があるにも関わらず、当局は確証もないまま、"犯人"を逮捕し、捜査に対して全く熱意が無かった。
国家保安省の捜査官レオ・デミドフの部下で、フョードル・アンドレエフの息子も犠牲になっていたが、スターリン支配下の当時は「ソビエト連邦には犯罪は存在しない」という建前になっていたため、列車での事故死とされた。
アンドレエフやその妻は、裸で息子が発見されたことや、息子と歩いていたという男性の目撃証言があったことから、殺人を疑った。ところが、レオはクズミンに命じられ、アンドレエフを「息子は事故死だった」と説得せざるを得なかった。
レオは、妻ライーサ・デミドフが、スパイであるという疑いを掛けられ、MGBに差し出すよう命じられる。だが、妻に「妊娠した」と告げられたこともあり、妻を逮捕することはできず、ウラル山脈の東側にある、ヴォウアルスク村に左遷されてしまう。
民警への降格を命じられ、以前の住環境とは比べ物にならない劣悪な状態となった。ライーサとケンカになり、そこで、「妊娠したというのはウソ。あなたが、両親と『家族全員を犠牲にするのか、妻1人を差し出すのか』と言われているのを聞いて、身を守るために、妊娠したと言った」と明かされる。さらに、「あなたがMGBだから、プロポーズを断ることができなかった」と言われ、愛情が無いにも関わらず結婚を選ばざるを得なかった、と告げられる。
転:捜査
ヴォウアルスク村でも少年少女を対象とした惨殺事件が連続して発生し、レオはそれまでの組織の意向に沿った勤務態度を改める。
レオは、ヴォウアルスク村を統括するネステロフ将軍に協力を求め、本気で事件解決を目指し始める。ネステロフ将軍に、子供が犠牲となった事件の詳細を調べてもらう一方、レオは、妻とともに危険を冒しながらも、モスクワに戻り、捜査を行う。アンドレエフに協力を求め、調査を行うが、犯人とおぼしき人物の証言は得られなかった。
ヴォウアルスク村に戻ると、レオは、ネステロフ将軍から、「線路沿いの各地で、子供が合計で44人、同様の手口で殺害されている。最も多い9人という犠牲者が出ている村がある。そこに犯人がいるのではないか。そして、線路沿いの村で事件が起こっているのは、出張で出かけては、その地で犯行に至っているからではないか」と推理する。
ヴォウアルスク村と、最も犠牲者の出ている村とで共通しているのは、トラック工場がある点だった。その工場に、犯人はいるのではないか、とネステロフ将軍は考えていた。
だが、こうした捜査を元部下のワシーリーは察知しており、妨害するため、レオはネステロフ将軍とともに、逮捕・拷問にかけられる。列車移送させられるレオとライーサは、ワシーリーの差金で、車内で命を狙われる。夫婦で協力し、辛くも列車から飛び降りたレオたちは、ネステロフ将軍が推理した、犯人のいるとおぼしき村へと向かう。
結:家族
レオは、村に着くとトラック工場へと潜入し、工場長を脅して、犠牲者が出た地へと出張している人物を特定させる。その人物の履歴書を手に、レオは犯人であるヴラジミール・マレーヴィチを追跡する。妻とともに、その犯人に近づくと、抵抗する様子もなく、「来たな」とヴラジミールは言うのだった。
「戦争で活躍し、英雄ともてはやされた君も、そして自分も、同じ殺人者だ」と言い、さらには「どうしても止めることができなかった…」と、子供を殺めることを止めたくても、どうしても自分の衝動を止めることはできないのだと自白した。
逮捕する前に、ワシーリーはヴラジミールを射殺。さらにはレオも殺害しようとする。だが、妻とともに立ち向かい、ワシーリーを倒す。MGBに囲まれたレオは、「ワシーリーは犯人逮捕を行おうとしていたが、その最中に命を落とした」と言うのだった。
ワシーリーによるレオ抹殺が失敗に終わり、クズミン少佐も失脚。結果、レオはMGBに戻ることができた。政治局への昇進も約束されたが、自ら「殺人課を創設し、そちらに配属していただきたい」と申し出る。上官の「犯人は、ドイツ軍の収容所に捕虜として収容されていた。そこで、西側に感化されたため、犯罪を犯したのだ」という意見を受け入れる代わりに、殺人課創設を認めさせたのだった。また、今回の事件に尽力したネステロフ将軍も、「同課に必要である」と、登用を希望した。
レオは、妻ライーサとともに、セーフハウスを訪れた。そこには、ワシーリーが殺害した農夫と妻の子供がいた。2人を養子にしたレオたちは、新たに4人家族となった。レオは、妻に「まだ俺が怖いか?」と問うが、ライーサは一緒に苦難を乗り越え、「もう怖くない」と答えた。
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